4月 30 2012
■労働者派遣法改正法に定められた労働契約申込みみなし制度
今回の労働者派遣法改正の中で筆者がもっとも注目をしているのは、「労働契約申込みみなし制度」の創設です。
先にご安心をいただきたいのは、労働契約申込みみなし制度に施行期日は、法の施行から3年経過後とされていますのでまだ時間の余裕はございます。しかし、3年なんて気にしないで放置しておくとあっという間ですね。
現に平成22年4月1日に施行された改正労働基準法では、一部の規定が中小企業(資本の額または出資の総額と常時使用する労働者の数で判断)には適用が猶予されていましたが、「法の施行3年経過後に改めて検討すること」とされていましたが、3年経過の平成25年4月1日まであと1年をきりました。
意識をしておかないといざ適用されるときに混乱してしまいます。労働基準法とともに派遣労働者を受け入れているお客様は、労働者派遣法についても意識をしておきたいところです。
改正法では労働者派遣の役務の提供を受ける者が次のいずれかに該当する行為を行った場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなすとされています。(第40条の6)
(1)第4条3項に違反して派遣労働者を第4条第1項の各号のいずれかに該当する業務に従事させること。
(2)第24条の2の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。
(3)第40条の2第1項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
(4)この法律又は第4節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。
※参照の法令はこちらのページをご覧ください。(http://blog.goo.ne.jp/cpc-r)
細かくなりますので知りたい情報が限定されているお客様はCPCにお問い合わせください。
これに付随して、労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る上記の(1)から(4)に規定する行為が終了した日から1年を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができないとされており、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から求めがあった場合においては、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者に対して速やかに労働契約の申込みをしたものとみなされた時点における当該派遣労働者に係る労働条件の内容を通知しなければならないというような制限や義務が課せられています。
一方で労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が、上記の(1)から(4)に規定する行為が終了した日から1年を経過する日までの期間内に当該申込みに対しての承諾する旨又は承諾しない旨の意思表示を受けなかったときは、当該申込みは、その効力を失うとされておりますのでいつまでも方向性が決まらないということはないように定められています。
特に派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して派遣労働者を受けて入れてしまったということは管理を確実にしていかないと起こりうることですから注意が必要となりそうです。
なお、厚生労働大臣は、これらの事項について、状況により必要な助言、指導または勧告をすることができるようになっており、場合によっては公表もできることになっていますので改正に対応ができるよう準備をしておきましょう。
厚生労働省のホームページでは、「施行期日や政省令の具体的内容については、今後、労働政策審議会での議論を踏まえて決定されます。」となっておりますので今後の情報にもご注目ください。
お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844