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2012年3月

3月 31 2012

■労働者派遣法の改正

 3月28日に労働者派遣法の改正法が参議院本会議で可決成立しました。改正が検討されていた当初の内容と比べると小幅な改正に留まりました。各方面から複数の請願が出ているでしょうからおそらくその影響もあるのでしょう。

 

 中でも労働契約申込みみなし制度については、特に注目をしていきたいところです。派遣先となっているお客様は受け入れが適法な状況にあるか常にチェックをしていく必要性がありそうです。

 

 CPCでは、集まったらSTUDYのテーマの中に入れることを検討しています。ご興味があるお客様はテーマに入りましたらぜひご登録ください。

 

 厚生労働省から概要が出されていますので掲載をしておきます。

 

(厚生労働省ホームページ「労働者派遣法改正法の概要」より抜粋)

【規制の事業強化】

●日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)の原則禁止(適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合、雇用機会の確保が特に困難な場合等は例外)

●グループ企業内派遣の8割規制、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止

 

【派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善】

●派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を努力義務化

●派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮

●派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化

●雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、一人当たりの派遣料金の額を明示

●労働者派遣契約の解除の際の、派遣元及び派遣先における派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用負担等の措置を義務化

 

【違法派遣に対する迅速・的確な対処化】

●違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす

●処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由を整備

違法派遣に対する迅速・的確な対処

 

【その他】

●法律の名称に「派遣労働者の保護」を明記し、「派遣労働者の保護・雇用の安定」を目的規定に明記

 

【検討事項】

●「登録型派遣の在り方」、 「製造業務派遣の在り方」、 「特定労働者派遣事業の在り方」を検討事項とする

 

【施行期日】

●公布の日から6か月以内の政令で定める日(労働契約申込みみなし制度の施行日は、法の施行から3年経過後

 

(労務管理資料お問い合わせ番号15:厚生労働省)

労働者派遣法改正法の概要

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/roudou_haken0329.pdf

 

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

 

 

 

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3月 30 2012

■労働者の過半数を代表する者の選出

 大手電機メーカーが就業規則の変更の際に、必要な手続きを踏んでいなかったなどとして労働基準監督署から「是正勧告」を受けていたとの報道がありました。指導を受けた実例がある訳ですから自社はどうか?と改めてチェックをしていただく機会にしたいものです。

 

 特に労働者の選出手続については、適正かつ明確に選出したことがわかることを希望されるお客様には書面にて選出の手続きをされることをお勧めしています。具体的な手続きを知りたいお客様はお問い合わせください。

 

  以下、労働基準法・労働基準法施行規則・通達ではどのように定められているかについて掲載していきます。

 

 労働基準法第90条では、就業規則作成の手続として下記のように定められています。

 

(労働基準法第90条第1項)

 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

(労働基準法第90条第2項)

 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

(労働基準法施行規則第49条の2)

 労働基準法第90条第2項規定により前項の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の署名又は記名押印のあるものでなければならない。

 

 労働者を代表する者の意見を聴くためには、労働者の過半数を代表する者を選出しなくてはなりません。労働者の過半数を代表する者については、労働基準法施行規則第6条の2に下記のように定められています。

 

(労働基準法施行規則第6条の2:一部抜粋)

1.労働基準法第41条第2項に規定する監督または管理の地位にある者でないこと。

2.法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること

 

 この選出手続きについて、お客様よりよくご質問をいただきます。上記の投票・挙手の方法以外のものとして通達では下記のように定められています。

 

(平成11.3.31基発169号)

問:労働基準法施行規則第6条の2に規定する「投票、挙手等」の「等」にはどのような手続きが含まれているか。

 

答:労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続が該当する

 

 ポイントは、「民主的な手続」ですね。よってこれに明確さを加えれば、選出手続きについて労働基準監督署の是正勧告を受けることはないでしょうから冒頭の「書面による選出方法をお勧めしている」訳です。CPCが選出手続きのお手伝いもいたしますのでご不明な点はお問い合わせください。

 

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

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3月 29 2012

■高額療養費制度の仕組みの改正(外来診察を受けた場合の現物給付化)

 これまでの高額療養費制度の仕組みでは、入院される方については、「認定証」等を提示することにより、窓口での支払いを自己負担限度額にとどめることが可能でしたが、外来診療では窓口負担が限度額を超えた場合でも、いったん当該負担額を負担し、後日、保険者に高額療養費の申請を行うことにより高額療養費の支給を受けるしかありませんでした。(一部の健康保険組合等においては例外もあると思います)

 平成24年4月1日からは外来診療についても、同一医療機関での同一月の窓口負担が自己負担限度額を超える場合は、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめる取扱い(高額療養費の外来現物給付化)が導入されます。

 

 下記の資料は、厚生労働省が発行しているリーフレットです。

 

(労務管理資料お問い合わせ番号12:厚生労働省)

高額な外来診療を受ける皆さまへ(概要)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/gairai_sinryou/dl/120110-01.pdf

 

 疑問点として出てきそうなものがいくつかQ&Aにまとめられています。その中でポイントとして特に押さえておきたいのは【質問4】・【質問9】・【質問11】・【質問12】・【質問15】でしょう。後日、保険者に高額療養費の申請をすることが必要となるケースが紹介されています。認定証等を提示することで高額療養費に関する申請は完了という訳ではないことは認識しておく必要があります。

 

 

【下記の資料よりピックアップ:質問4】

Q:月途中に限度額適用認定証又は限度額適用・標準負担額減額認定証が交付された場合、外来の高額療養費の現物給付化はどの時点から実施されることになるのか。

 

A:月途中に限度額適用認定証又は限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受け、医療機関に提示した場合、

 

(1) 認定証の提示の前に、その月の窓口負担の合計額が自己負担限度額を超えていない場合は、提示した以降に受診した窓口負担を含めて、その月のその医療機関での窓口負担の全ての合計額と自己負担限度額との差額が現物給付化の対象となります。【ケース1】

 

(2) 認定証の提示の前に、その月の窓口負担の合計額が自己負担限度額を超えている場合は、その月の窓口負担は現物給付化の対象とはせず、翌月以降、現物給付化が適用されます。このため、その月の高額療養費は、後日、保険者に申請してください。【ケース2-1】

 

(3) ただし、(2)の場合に、認定証の提示の前の窓口負担と自己負担限度額との差額を、患者からの相談に応じて、医療機関が払い戻しする場合もあります。この場合は、自己負担限度額に達する前に認定証を提示したものとみなして、(1)と同様の取扱いとします。【ケース2-2】

 

【ケース1】(認定証提示前に自己負担限度額に達していない場合)

(70歳未満・一般所得にあてはまる方)

4月1日

A医療機関で外来診療 総医療費100,000円、自己負担額30,000円

4月15日

限度額適用認定証が交付

4月16日

A医療機関で外来診療  総医療費300,000円

 この場合、月の初めにさかのぼって適用されることになるため、自己負担限度額に達し、自己負担限度額が80,100円+(100,000円+30,000円-267,000円)×0.01=81,430円となります。したがって、4月16日の窓口での支払いは、81,430円-30,000円(4月1日支払い分)=51,430円でよいことになります。

 

【ケース2-1】(認定証提示前に自己負担限度額に達した場合)

 (70歳未満・一般所得にあてはまる方)

4月1日

A医療機関で外来診療 総医療費300,000円、自己負担額90,000円

4月15日

限度額適用認定証が交付

 この場合、既にA医療機関で支払った額と自己負担限度額の差額(90,000円-80,430円=9,570円)については、後日、被保険者が保険者に申請することにより、保険者から高額療養費として払い戻しされます。また、このケースで、4月16日以降、A医療機関で外来診療を受けた場合は、【ケース2-2】のように医療機関から払い戻しを受けることができる場合を除き、医療機関の窓口では、定率の自己負担額をお支払いいただくことになります。1日と16日以降にA医療機関で支払った額の合計額と自己負担限度額の差額については、後日、被保険者が保険者に申請することにより、保険者から高額療養費として払い戻しされます。

 

※ 個々のケースにより医療機関等での払い戻しが可能な場合があります。

 

【ケース2-2】(限度額適用認定証提示前に自己負担限度額に達したが、医療機関から払い戻しを受けることができる場合)

(70歳未満・一般所得にあてはまる方)

4月1日

A医療機関で外来診療 総医療費300,000円、自己負担額90,000円

4月15日

限度額適用認定証が交付

4月16日

A医療機関で外来診療  総医療費100,000円、自己負担額0円、払い戻し8,570円 

 医療機関から払い戻しを受けることができる場合、4月16日の外来診療では自己負担を支払う必要はありません。既に支払った分と自己負担額との差額、90,000円-81,430円=8,570円が医療機関から払い戻しされることになります。

 

 なお、月途中に限度額適用認定証又は限度額適用・標準負担額減額認定証が交付されても、医療機関等への提示が翌月となった場合は現物給付化を行わずに、保険者に後日、高額療養費の申請を行うことにより当月分の高額療養費の支給を受けることとします。

 

 

【下記の資料よりピックアップ:質問9】

Q:同一の月に複数の医療機関等を受診した場合どうなるか。医科・歯科別はどうなるか。

 

A:複数の医療機関等を受診した場合は、それぞれの医療機関等ごとに外来の高額療養費の算定をすることになります。また、同一医療機関に併設された医科・歯科についても別々に高額療養費を算定することになります。

 

【ケース1】

(70歳未満・一般所得にあてはまる方)

A病院(外来・医科):総医療費100,000円、自己負担額30,000円

B薬局:総医療費200,000円、自己負担額60,000円

C病院(外来・医科):総医療費100,000円、自己負担額30,000円

複数の医療機関等同士の医療費を医療機関の窓口で合算することはできないため、高額療養費の現物給付化の対象とはなりません。

※ この場合、高額療養費の現物給付化の対象とはなりませんが、被保険者は後日、保険者に高額療養費の申請を行うことにより高額療養費の支給を受けることになります。

 

【ケース2】

(70歳未満・一般所得にあてはまる方)

A病院(外来・医科):総医療費100,000円、自己負担額30,000円

B薬局:総医療費200,000円、自己負担額60,000円

A病院(2回目・外来・医科):総医療費300,000円、自己負担額90,000円

 

 この場合、複数の医療機関同士の医療費を医療機関の窓口で合算することはできないため、B薬局では60,000円を支払う必要はあります。ただし、同一の医療機関では合算することが可能なため、自己負担限度額に達し、A病院の医療費は合算され、A病院の外来にかかる自己負担限度額は、80,100円+(100,000円+300,000円-267,000円)×0.01=81,430円となります。A病院の2回目の支払いは、81,430円-30,000円(1回目支払い分)=51,430円でよいことになります。

※ この場合、被保険者は、別途、保険者に高額療養費の申請を行うことにより、B薬局での一部負担金を含めた高額療養費の支給を受けることになります。

 

 

 【下記の資料よりピックアップ:質問11】

Q:同一月に同一の医療機関で外来と入院を受診した場合どうなるのか。

 

A:外来と入院は別々の扱いとなります。

【ケース】

(70歳未満・一般所得にあてはまる方)

A病院(入院):総医療費400,000円、自己負担額120,000円

A病院(外来):総医療費300,000円、自己負担額90,000円

この場合、外来と入院は別々に扱うことになるため、入院では自己負担限度額の80,100円+(400,000円-267,000円)×0.01=81,430円を支払い、外来でも自己負担限度額の80,100円+(300,000円-267,000円)×0.01=80,430円を支払うことになります。

※ この場合、合算の対象となるため、被保険者は後日、高額療養費の申請を保険者に行うことにより差額分の高額療養費の支給を受けることになります。

 

 

【下記の資料よりピックアップ:質問12】

Q:同一月に同一の医療機関に同一の世帯で複数人、受診した場合であって、合算してはじめて高額療養費の対象となるときはどうするのか。

 

A:入院の時と同様、高額療養費の現物給付化については、個人単位で計算しますので、各患者が各々自己負担限度額に達しない場合には、高額療養費の現物給付化の対象とはなりません。ただし、同一の世帯で合算し、高額療養費の対象となる場合には、後日、保険者に高額療養費の申請を行うことにより高額療養費の支給を受けることになります。

 

 

【下記の資料よりピックアップ:質問15】

Q:平成24年4月の施行段階で多数回該当に該当している場合は引き続き外来でも多数回該当となるのか。

 

A:平成24年4月の施行段階で多数回該当に該当しており、医療機関等で多数回該当にあたることが確認できている場合に限り、多数回該当の限度額により高額療養費の現物給付化が行われます。医療機関等で多数回該当にあてはまることについて確認できない場合には、被保険者は後日、保険者に高額療養費の申請を行うことにより多数回該当の限度額との差額分が、高額療養費として支給されます。

 

(労務管理資料お問い合わせ番号13:厚生労働省)

≪被用者保険にご加入の方≫【第2版:平成24年2月16日】

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/gairai_sinryou/dl/120110-03.pdf

 

 そもそも高額療養費とは?が知りたいお客様は下記の資料をご覧ください。

 

(労務管理資料お問い合わせ番号14:厚生労働省)

高額療養費制度を利用される皆さまへ

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/gairai_sinryou/dl/120110-02.pdf

 

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

 

 

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3月 28 2012

■労災保険メリット制の改正

 平成24年4月から労災保険のメリット制度が改正されます。

 

 有期事業(一括有期事業を含む)に関するメリット制の適用要件のうち確定保険料の額に係るものを、現行の100万円以上から40万円以上に改正されました。これにより適用範囲が拡大をされたことになります。従来の制度では適用が受けられなかったものの今回の改正で適用となるお客様で、災害に対する万全の対策等が講じて業務災害の発生が一切ないような場合は恩恵を受けられると言えます。

 この適用範囲の拡大に付随して、新たに適用対象となる中小規模の事業主について、メリット収支率が高い場合に保険料負担が大幅に増加することが懸念されるために、一定の要件に該当する一括有期事業について、増減幅を±30%とするメリット制の増減率が定められました。

 

詳細は、下記の資料をご覧ください。

 

 (労務管理資料お問い合わせ番号6:愛知労働局)

メリット制の改正について

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0031/9994/201221013552.pdf

 

 メリット制の適用に当たっては、①連続する3保険年度のすべてにおいて現行要件を満たす場合と、②現行要件は満たさないものの、新要件は満たす(確定保険料額が40万円以上100万円未満)保険年度が1つでもある場合とで、メリット増減幅が異なる運用を行うこととなります。どのような場合に適用になるかは下記の資料をご覧いただくとわかりやすいと思います。

 

(労務管理資料お問い合わせ番号7:愛知労働局)

一括有期事業(建設事業)のメリット制適用例

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0031/9995/201221091328.pdf

 

その他下記の資料も参考となります。必要に応じてご覧ください。

 

(労務管理資料お問い合わせ番号8:愛知労働局)

労災保険率から非業務災害率を減じた率の増減表

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0031/9996/2012210113824.pdf

(労務管理資料お問い合わせ番号9:厚生労働省)

メリット制の適用要件の改正

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/meritto_h24.pdf

 

 

 そもそもメリット制とは何?というお客様は下記の資料をご参照ください。資料を抜粋したものを記載しておきますので必要に応じてご覧ください。

 

(労務管理資料お問い合わせ番号10:厚生労働省)

労災保険のメリット制について

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/rousaimerit.pdf

 

【以下、「労災保険のメリット制について」より抜粋】

1.メリット制とは~概要~

 労災保険率は、災害率等に応じて事業の種類ごとに定められています。しかし、事業の種類が同じであっても作業工程、機械設備、作業環境、事業主の災害防止努力の違いにより個々の事業場の災害率には差が生じます。

 そこで、労災保険制度では、事業主の保険料負担の公平性の確保と、労働災害防止努力の促進を目的として、一定の要件を満たす事業場の労災保険料を、その事業場の労働災害の多寡に応じて一定の範囲内で増減させる制度を設けています。 この制度のことを、労災保険の「メリット制」といいます。

 メリット制が適用される場合は、増減する保険料が通知されます 。増減する労災保険料は、労災保険率決定通知書(継続事業の場合)、改定確定保険料決定通知書(有期事業の場合)に記載され、管轄の都道府県労働局歳入徴収官から、メリット制が適用される事業場の事業主に通知されます。

・継続事業の場合・・・年度更新申告書に同封して送付されます。

・有期事業の場合・・・事業終了後、収支率を算定するのに要する期間経過後に送付されます。

 

 

2.継続事業(一括有期事業を含む)のメリット制について

(1)適用要件

 連続する3年度中の各年度において、次のイ、ロ、ハのいずれかを満たす事業であって、その3年度中の最後の年度に属する3月31日(以下「基準日」といいます。)現在で、労災保険に係る保険関係が成立した後3年以上経過している事業場

 

イ:100人以上の労働者を使用する事業場

 

ロ:20人以上100人未満の労働者を使用する事業場であって、その労働者数に事業の種類ごとに定められた労災保険率から非業務災害率(※1)を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの

【労働者数×(労災保険率-非業務災害率)≧0.4】(※2)

 

ハ: 一括有期事業(建設の事業及び立木の伐採の事業)で確定保険料の額が100万円以上であるもの

 

※1:非業務災害率とは、通勤災害や二次健康診断等の給付に充てる分の保険料率のことで、それぞれの業種に設定されている労災保険率のうち業種によらず1000分の0.6(平成21年4月から)が該当します。

 

※2:現在の労災保険率(平成21年4月から)でロの適用要件を満たす事業場は、最低労働者数以上(資料「労災保険のメリット制について」の9ページ参照)の労働者を使用する事業場です。

 

 

(2)メリット制の適用

 メリット制の適用 メリット制が適用されるのは連続する3年度の最後の年度(「基準日」の属する年度)の翌々年度となります。

 

 

(3)収支率

 メリット制が適用となる事業場の労災保険率を増減することとなりますが、その判定のために「収支率」を算定します。 収支率は連続する3年度間における保険料額に対する、同じ期間の保険給付等の額の比率を基に厚生労働省にて算定します。

 

(4)メリット労災保険率(メリット制適用後の労災保険率)

 メリット制が適用された労災保険率(メリット労災保険率)は、収支 率及び収支率表(資料「労災保険のメリット制について」の3ページ参照)により算定されます。 具体的には、収支率が75%以下である場合、その値が小さければ小さいほどメリット制の適用により労災保険率が大きく減じられます(最大40%の割引)、一方、収支率が85%を超える場合、その値が大きければ大きいほど労災保険率が大きく増加されます(最大40%の割増)。

 なお、収支率が75%を超え85%以下である場合は、労災保険率に増減はありません(変動なし)。

 メリット労災保険率は労災保険率決定通知書に記載され、管轄の都道府県労働局歳入徴収官から、「年度更新申告書」に同封してメリット制が適用される事業場の事業主に通知されます。

 

 

3.有期事業のメリット制について

(1)適用要件

建設の事業又は立木の伐採の事業であって、その規模が次のイ、ロのいずれかを満たす事業について適用されます。

 

イ:確定保険料の額が100万円以上であること

 

ロ:建設の事業は請負金額が1億2千万円以上、立木の伐採の事業は素材の生産量が1,000立方メートル以上であること

 

(2)改定確定保険料(メリット制適用後の保険料)

 有期事業は、事業終了後、一度概算保険料の確定精算を行っていただくことになります(保険関係消滅の日(=事業終了の日)から50日以内に確定精算)。確定精算後の保険料を、確定保険料といいます。 その後、メリット制が適用となる事業場の確定保険料を増減することとなり、メリット制が適用後の確定保険料を「改定確定保険料」といいます。

 

(3)収支率

 メリット制が適用となる事業場の確定保険料の額を増減させる基準となるのは、継続事業のメリット制の場合と同様、収支率です。 有期事業のメリット制の収支率は、確定保険料と、事業終了日から原則として3か月を経過した日前までの保険給付等の額との比率を基に厚生労働省で算定します。

 なお、事業終了後に療養が長引く場合や新たな労災が認定される場合があり、このような場合には収支率が変動してしまうことから、実施された事業における保険給付額を確定させ、この収支率の変動が収まるのを待つために、事業終了後一定の期間を置いています(3か月を経過した時点で収支率の変動が収まらない場合に限り、9か月を経過した時点での収支率を算定することとなります。)

 

(4)改定確定保険料の計算

 改定確定保険料は収支率及び収支率表(資料「労災保険のメリット制について」の5ページ参照)により算定されます。 具体的には、まず、事業終了日から3か月(又は9か月)を経過した時点で収支率を算定し、その収支率及び収支率表により確定保険料を改定します。収支率が75%以下である場合、その値が小さければ小さいほどメリット制の適用により労災保険料が大きく減じられ(最大40%の割引)、収支率が85%を超える場合、その値が大きければ大きいほど労災保険料が大きく増加されます(最大40%の割増)。 また、収支率が75%を超え85%以下である場合は、労災保険料に増減はありません(変動なし)。

 改定確定保険料は、有期事業のメリット制適用事業の事業主に通知され、改定確定保険料と確定保険料との差額が、追加徴収(確定保険料が収支率に基づき引き上げられた場合)又は還付(確定保険料が収支率に基づき引き下げられた場合)されることになります。

 

4.特例メリット制について

 労働災害は、近年、全体として減少していますが、今なお中小企業で多く発生しています。そこで、中小企業における労働災害防止活動を一層促進する目的で、一定の要件を満たす事業場の事業主からの申告があれば、メリット増減率を、通常であれば最大40%のところ、最大45%となる制度を設けています。 この制度のことを、労災保険の「特例メリット制」といいます。

 

 特例メリット制については、下記の資料をご覧ください。

 (労務管理資料お問い合わせ番号11:厚生労働省)

労災保険の特例メリット制全体版

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/dl/060401-1.pdf

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

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3月 27 2012

■雇用保険料率の変更

 平成24年4月1日から雇用保険料率が平成23年度より引き下げられます。内容については、下記の資料をご確認ください。

  (労務管理資料お問い合わせ番号4:愛知労働局)

平成24年度の雇用保険料率~前年度より引き下げました~

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0026/9311/2012126115736.pdf

 

 【以下は、雇用保険料率決定までの詳細です。気になる方だけ読んでください】

 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第5項にて、厚生労働大臣は、毎会計年度において徴収保険料額並びに国庫の負担額の合計額と失業等給付の額並びに認定職業訓練を行う者に対する助成及び職業訓練受講給付金の支給の額との合計額(以下、「失業等給付額等」という。)との差額を当該会計年度末における労働保険特別会計の雇用勘定の積立金に加減した額が、当該会計年度における失業等給付額等の2倍に相当する額を超え、または当該失業等給付額等に相当する額を下るに至った場合において、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、1年以内の期間を定め、雇用保険率を1000分の13.5から1000分の21.5まで(農林水産業・清酒製造業については1000分の15.5から1000分の23.5まで、建設業については1000分の16.5から1000分の24.5まで)の範囲内において変更することができるとされており、いわゆる雇用保険料率の弾力的変更ができることになっています。

 

 そして、以下の資料が労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会の報告です。

(労務管理資料お問い合わせ番号5:厚生労働省ホームページ)

【別添1】雇用保険部会報告(PDF:121KB)をご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001zi9w.html

 

 現行の法律等から導き出される下限の雇用保険料率となっていることがわかります。労働政策審議会いいこと言った!という気持ちがある一方でこの措置が負担の先送りをしただけにならないことを祈るばかりです。

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

 

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3月 26 2012

■労災保険料率の変更

 平成24年4月1日から労災保険率が改定されます。(労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成24年厚生労働省令第14号)が公布・施行されたことによるもの)一部の業種を除き、率が下がるものが多いので下がる業種を営まれているお客様にとっては良い情報ですね。新年度の率など詳細はパンフレットをご覧ください。

(労務管理資料お問い合わせ番号1:愛知労働局)

労災保険率表

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0031/9997/201229173844.pdf

 (労務管理資料お問い合わせ番号:2愛知労働局)

労務比率表

http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0031/9998/201229173930.pdf

  

 参考までに一人親方等第二種特別加入者も一部変更がされました。あんぜん建設協会にて建設業の一人親方にご加入をいただいている皆さまについては、労災保険率に変更はございませんので平成23年度と同額となります。

 (労務管理資料お問い合わせ番号3:東京労働局)

第二種特別加入労災保険率表

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0032/0543/2012217104148.pdf

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

 

 

 

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3月 24 2012

■年金事務所の調査

 厚生労働省が3月21日、厚生年金への加入義務があるのに加入手続きをしない事業所について、3年以内に半減させる目標を定め、約175万カ所ある全ての対象事業所を4年に1度、調査する方針を決めたそうです。これまでも3年に1回や5年に1回などと言われていましたが、管轄している事業所のすべての事業所を調査するということについて現場でかなりの努力をしても追いつかない印象を持っていました。

 

 「厚生年金への加入義務があるのに加入手続きをしない事業所について、3年以内に半減させる目標」であるならば、全事業所を調査する前に未加入事業所を調査・指導する方が効率的だと私は考えますが、皆様はどのように捉えますでしょうか?

 

 いずれにしても厚生労働省が決めた方針ですから4年に1度調査がされることを前提に適正な手続きを心がけておけば特に恐怖を感じるようなものではありません。年金事務所にて調査の際にチェックをされるポイントは、未加入者のチェック(加入しなければならない人が未加入となっていないか?(特にパートタイマーやアルバイト、役員など)、取得時の報酬・随時改定(月額変更届)と定時改定(算定基礎届)が適正な金額で提出されているか、賞与を支払った際に賞与支払届が提出されているか?またその金額は適正か?という点が特に重要なものであるといえるでしょう。

 

 パートタイマーなど非正規労働者の加入拡大が本格的に検討される中で従来から適用すべてきであるのに適用されていないことへの批判もあって定期的調査を実施する方針を決めたのではないでしょうか。社会保険の適用を適正に行うにはどのようにやっていくと良いかを知りたいお客様がございましたらぜひ集まったらSTUDYのテーマ希望としてご意見をお聞かせください。(集まったらSTUDYについては、トップページのPDFをご覧ください。http://www.c-roumukanri.jp/index.html

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

 

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3月 23 2012

■集まったらSTUDYのご案内

 すこしでも皆さまの手助けができれば考え、新しい企画を始めました。弊社の2階会議室を使い各テーマについてお客様が集まっていただいた段階で開催をするものです。(詳しくは、トップページのPDFをご覧ください。http://www.c-roumukanri.jp/index.html

 

 現在募集しているテーマは、(1)定年後の賃金と給付の利用  (2)今さら聞けない労働時間  (3)雇用保険離職理由と給付のつながりの3つです。

 

【定年後の賃金と給付の利用】

 定年退職後の賃金の設定方法・年金の支給のされ方、高年齢雇用継続給付等の利用についてお話いたします。

 

【今さら聞けない労働時間】

 労働時間は多くの会社にとって課題となる分野です。まずは基本からお話をさせていただいて法律はどのようになっているか、実務面の問題はどこにあるのかをお話いたします。

 

【雇用保険離職理由と給付のつながり】

 雇用保険の給付に関するルールは少しずつ複雑化をしてきました。総務・人事のご担当として整理をしておきたい方にはお勧めのテーマです。特に契約期間満了による退職が問題となったことのあるお客様はぜひ!

 

お問い合わせ:名古屋市中区大井町2-11 中部労務管理センター 電話番号:052-331-0844

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